ニュース

「kobo Touch」5480円に値下げ、一方で高解像度の「aura HD」国内投入は……

 楽天株式会社の子会社であるカナダKobo Inc.は19日、電子書籍端末「kobo Touch」を同日より5480円に値下げした。従来価格の6980円から1500円の値下げとなる。また、コンパクトモデルの「kobo mini」はすでに8日、6980円から1000円値下げし、5980円で販売している。

kobo Touch
kobo mini

 Kobo Inc.は、ちょうど1年前の2012年7月19日、日本での電子書籍サービス「楽天<kobo>」をスタート。kobo Touchを国内発売するとともに、電子書籍ストア「koboイーブックストア」を開設した。

 今回、「サービス開始1周年を迎え、kobo Touchをさらにお求めやすい価格で提供することで、より多くの方々に電子ブックでの読書を気軽にお楽しみいただくことを可能にする」としている。

 新価格のkobo Touchやkobo miniは、「楽天市場」や家電量販店、書店などで販売。また、楽天市場の「楽天24 koboショップ」での購入者には、「電子書籍スタート応援キャンペーン」として電子書籍クーポン1000円分をプレゼントする。

 kobo Touchは、解像度600×800ドットの6インチE Ink電子ペーパーディスプレイを搭載した端末で、日本市場での最初のモデル。11月15日には、同じ6インチ電子ペーパーディスプレイながら、解像度が758×1024ドットに上がり、フロントライトを装備することで視認性を上げた「kobo glo」を投入。さらに12月20日、解像度が600×800ドットの5インチ電子ペーパーディスプレイを採用することで、本体サイズを文庫本並みにコンパクトにしたkobo miniを投入した。なお、kobo gloの価格は7980円のままで今回は変更ない。

新端末の国内投入、高精細電子ペーパー搭載機ではなくタブレット端末

 日本では未発売となるが、Kobo Inc.ではこのほか、1080×1440ドットの6.8インチ電子ペーパーディスプレイを搭載した高解像度モデル「kobo aura HD」と、7インチカラー液晶ディスプレイを搭載したAndroidベースのタブレット端末「kobo arc」をラインナップしている。楽天<kobo>が1周年を迎えた19日には東京都内で報道関係者向けの説明会が開催され、会場にはこれらの端末も展示されたが、日本での具体的な発売予定については明言されなかった。

kobo aura HD
kobo arc

 楽天の白石翼氏(イーブック事業企画管理部部長)によると、同社では、Kobo Inc.が開発した製品を日本市場で投入する時期・価格などを検討した上で、ローカライズの開発リソースの優先順位を決めて取り組んでいる。これまでは、楽天<kobo>のローンチ直後のトラブルを踏まえ、既存端末のクオリティを上げるためにファームウェアのアップデートを最優先してきたという。次いでアプリに着手し、特にiOSアプリの投入により利用者が増加していることとから、新機能の開発に注力している段階だとしている。

電子書籍端末のファームウェア、アプリのリリース履歴

 また、kobo aura HDを日本市場に投入するのにネックとなっているのが、その価格だ。従来よりも高精細でサイズの大きい電子ペーパーディスプレイを採用していることから、電子書籍端末としては確かに高性能な製品ではあるが、どうしても高価になる。海外では179ドルで販売されており、カラー液晶ディスプレイ搭載のタブレット端末が買える価格帯だ。日本のユーザーに満足してもらえる価格帯で出せるか難しいところだとしており、価格面で折り合わない電子書籍端末を投入するよりは、タブレット端末の方を先に投入するべきだと同社では判断している。

 ただし、タブレット端末のkobo arcについても日本市場投入の具体的な時期は明言せず、近いうちに発売できるよう鋭意準備を進めているとするにとどまった。また、日本で発売するのは、kobo arcの現行機種ではなく、Kobo Inc.が現在開発中の次期モデルになる見込みだ。Kobo Inc.がその次期モデルをワールドワイドで発表した後、楽天<kobo>での発売時期や価格なども発表するという。

 白石氏によると、koboのタブレット端末は、さまざまな価格設定で提供していくかたちが考えられるとしている。読書に特化した電子ペーパーディスプレイ端末とは異なり、タブレット端末ではアプリをインストールすることで電子書籍以外にもさまざまなサービスが可能になる。楽天グループの他のサービスとの連携も考えられ、例えば楽天市場の会員ランクに応じて特典としてタブレット端末を提供してさらに囲い込みを強化したり、一定期間の継続利用を前提とした、端末売り切り型ではない提供形態なども想定している模様だ。

楽天株式会社の白石翼氏(イーブック事業企画管理部部長)

(永沢 茂)