被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー
だまされないように注意!
SNSで仕事を受けたら「闇バイト」だったケースも、意図せず犯罪に加担してしまう危険性
2024年4月19日 07:02
外務省は、「海外で短期間に高収入」「簡単な翻訳作業」などの闇バイトのうたい文句に誘われ、意図せず犯罪の加害者になるケースについて注意喚起しています。
詐欺師はSNSなどで募集し、海外旅行できる上に収入も得られるなら、と軽い気持ちで応募してくる人を集め、ネット詐欺行為などの犯罪に加担させます。
闇バイトに応募したのであれば自業自得の面もありますが、通訳など普通の仕事として募集するケースも報道されていました。佐賀県警が摘発したカンボジアを拠点にした特殊詐欺事件について、詐欺罪に問われている男が出国前に犯罪組織と契約を交わした契約書の内容は一般的なものだったそうです。しかし、現地に着くとビザを取得する、と言われパスポートを取られてしまいます。その上で、日本人向けの詐欺行為を強要されたそうです。男は投資詐欺を仕掛けるSNS用の日本語文章をチェックする業務を与えられていました。
辞めたいと思っても、パスポートを取り上げられているので出国できません。そもそも軟禁状態で抜け出せないようです。少しでも詐欺行為を行ってしまったのなら、個人情報を元に脅迫されます。相手は犯罪組織なので、ひどい暴行を加えられる可能性もあります。警察に逮捕され、日本に送還されれば罪に問われることでしょう。
世界中で広まる手口、だまされて犯罪に加担させられる危険性
ICPO(国際刑事警察機構)のユルゲン・ストック事務総長は、コロナ禍でこの手の犯罪は急激に広まっており、10年前には想像もできなかった規模になっていると警鐘を鳴らしています。従来は、東南アジアが舞台になることが多かったのですが、現在では世界中に拡散しているそうです。
近年、詐欺師たちの拠点が摘発されるニュースを多く目にするようになりました。例えば、2023年5月にはフィリピンのデジタルマーケティング会社を家宅捜索したところ、1090人が強制的に詐欺に加担させられていました。そのうち919人が外国人で、このケースでも、SNSでマーケティングスタッフの求人を見て応募した人たちが、結果的に犯罪に加担させられていました。2024年3月には、タイで日本人相手に投資詐欺を行っていた中国人とタイ人の詐欺グループ63人が拘束されています。
海外拠点での詐欺師は、リゾートバイトとして現地の滞在地と仕事をまとめて斡旋するという、海外に関心を持つ人にとって魅力的な条件で求人ができるのが厄介なところです。まずは、海外で手軽に儲けられる、という求人を頭から信じないようにしましょう。
このネット詐欺の被害に遭わないためには、まず求人内容とその企業についてよく確認する必要があります。条件が良ければ良いほど、慎重に調べましょう。仕事の内容や勤務地、期間などが明確に記載されているか、また、その企業についてウェブサイトや口コミサイトなどを検索してみましょう。情報がなかったり、不明瞭だったり、常識的な内容でない場合は要チェックです。
あまりにも高額な報酬を提示してきたり、経験や語学力が不要などと都合が良すぎる条件を提示してきている場合は、詐欺を疑った方が良いでしょう。そして、少しでも怪しい場合は応募しないでください。海外の闇バイトに手を出すと、取り返しがつきません。少なくとも、海外に誘い出されて、犯罪に加担させられる事件が多発している、ということは心に留めておきましょう。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
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※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
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